ランドセルのおおまかな構造は、どのメーカーも共通しています。しかしいざランドセル選びとなると、「たくさんのパーツがあって名前が覚えられない」「メーカーやモデルによる細かなパーツの違いがよくわからない」と戸惑った方もいるのではないでしょうか。
ランドセルのパーツは、メーカーの特色やこだわりが出やすい部分でもあります。今回は、ランドセルの構造と使われているパーツを詳しくご説明します。パーツの名前がわかると、メーカー・モデルの特徴も把握しやすくなるので、ぜひ納得のいくランドセル選びにお役立てください。
【この記事で分かること】
・ランドセルの構造が分かる
・ランドセルのパーツと特徴が分かる
・ランドセルの構造に関するよくある疑問の答えが分かる
ランドセルの構造とパーツを丸ごと解説
まず、ランドセルの各パーツの名前とそれぞれの役割を、図と表でまとめました。
構造 | 詳細 |
①持ち手 | ランドセルを手で持つときに掴むためのパーツ。 |
②背カン | ランドセル本体と肩ベルトをつなぐためのパーツ。 |
③肩ベルト・下ベルト | 肩にかけてランドセルを背負うためのベルト。 |
④防犯ブザーフック | 防犯ブザーを取り付けるフック。 |
⑤ベルト留め具 | 肩ベルトの長さを調整するパーツ。 |
⑥背あて | ランドセルを背負ったときに背中にあたる部分。 |
⑦ヘリ | 背あての周囲を囲っている出っ張った部分。本体を保護する役割。 |
構造 | 詳細 |
⑧カブセ | ランドセルのフタ部分。「全カブセ」と「半カブセ」の2種類がある。 |
⑨ベロ(差し込み) | カブセと錠前をつないでいるパーツ。 |
⑩反射材 | 車や自転車のライトを反射する素材。 |
⑪ナスカン・Dカン | 荷物を引っかけるためのフック。 |
⑫錠前 | カブセを本体に固定するための留め具。 |
⑬だるまカン | 下ベルトとランドセル本体をつなぐ丸いパーツ。 |
構造 | 詳細 |
⑭カブセ裏 | カブセの裏側の素材。 |
⑮内張り | 大マチ内部の素材。雨など縫い目からの浸水を防ぐ。 |
⑯大マチ | ランドセルの一番大きな収納スペース。 |
⑰小マチ | 大マチの前にあるサブの収納スペース。 |
⑱ファスナーポケット | 小マチの前にあるファスナー付きのポケット。 |
⑲前ひも | 小マチの容量を調節するベルト。 |
⑳時間割ポケット | 時間割や名前カードが入れられる透明のポケット。 |
①持ち手
※大人でも持ちやすい池田屋の持ち手
持ち手は、ランドセルを手で持つときやロッカーから出し入れするときに便利なパーツです。昔は机の横にかけるための金属製の小さなフックのみが付いてることも多かったのですが、今はハンドバッグのような掴みやすい持ち手がついたランドセルがほとんどです。
池田屋ランドセルでも、大人の手でも持ちやすい丈夫な持ち手を採用しています。実際に池田屋ランドセルを使ったお子さまから「便利でよく使ってるよ」というお声もいただいたことがあります。
②背カン
背カンは、ランドセル本体と肩ベルトをつなぐパーツのことです。背カンの種類によって肩ベルトの動き方が変わるので、背負いやすさやフィット感に大きく関わってきます。
メーカーやモデルによっていろいろな種類があるので迷ってしまいがちですが、形にはこだわりすぎず、試着してお子さまにフィットするものを選ぶのがおすすめです。
こちらの記事では、背カンの種類や試着するときのチェックポイントを詳しくご紹介しています。あわせて参考にしてみてくださいね。
>>ランドセルの背カンはフィット感に直結する?種類や選び方を紹介
③肩ベルト・下ベルト
肩ベルトは、ランドセルを背負うためのベルトです。一般的にはS字型とストレート型の2種類の形があり、どちらの形かはメーカーによって違います。
背カンと同じでどちらがいいというものではないので、実際に背負ってみて身体に合うか確かめてみるのがおすすめです。
池田屋ランドセルの肩ベルトは、オリジナルの「フィットライン設計」を採用。肩ベルトと下ベルトを合わせて、最適なポジションに調整しやすい形になっています。
④防犯ブザーフック
防犯ブザーフックは、その名の通り防犯ブザーを取り付けるためのパーツです。肩ベルトの中ほど、背負ったときに手に取りやすい位置にあります。メーカーによってはフックの位置が調整できるので、体の成長に合わせて付け替えが可能です。
池田屋の防犯ブザーフックは、利き手や体の大きさに合わせて自由に位置を移動できるため、6年間ずっと使いやすい位置で使用できます。
⑤ベルト留め具
ベルト留め具は、肩ベルトの長さを調整するためのパーツです。お子さまの体格や成長に合わせて、背負いやすい長さに変えることができます。
ちなみにランドセルの肩ベルトは、背カンとだるまカンにそれぞれつながっている2本のベルトを、ベルト留め具でまとめて固定しています。
ベルト留め具はバックル式が一般的ですが、池田屋ではオリジナルのギボシベルトを採用しています。
*池田屋オリジナルの留め具
ベルトの幅より出っ張らないので肌や服に引っかかりにくく、わき腹や肘に当たって痛い思いをする心配がありません。
⑥背あて
背あては、ランドセルを背負ったとき背中に触れるパーツです。クッション性がある素材でできていて、体へのフィット感を高めてくれます。
池田屋ランドセルの背あては、表面に細かな穴が開いたオリジナル素材「ピンホール人工皮革」で通気性抜群。汗ムレしにくくずっと快適に背負えます。
⑦ヘリ
ヘリは、上の図のピンクで塗られている出っ張った部分です。車のバンパーのような役割を果たして、本体が傷つくことを防いでくれます。ヘリがあることで、丈夫で型崩れしにくくなるのもメリットです。
最近は、ヘリがないタイプのランドセルも作られるようになりましたが、池田屋ランドセルは長く使うことも考えて、より型崩れしにくいヘリがあるタイプで統一しています。
⑧カブセ
カブセは、ランドセルのフタ部分です。中に入れた教科書やノートが飛び出したり、雨でぬれたりしないように守る役割があります。
カブセには、ランドセル全体を覆う「全カブセ」と、フタが短めの「半カブセ」があります。
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⑨ベロ(差し込み)
ランドセルのカブセと錠前をつなぐパーツです。カブセを開け閉めする際に引っ張られて力のかかる場所なので、カブセに鋲と縫い付けで2重に固定されています。
形はメーカーによって様々ですが、Y型のベロが付いているランドセルが多いです。
池田屋では、ベロの根元部分(カブセとの固定部分)に一番力がかかることを考えて、より耐久性が増すように台形のベロを採用しています。台形であることからカブセへの接着面が広くなり、引っ張る力に対する強度が強いのが特徴です。
⑩反射材
ライトが当たったときに光を反射する反射材は、安全面でとても大切なパーツです。ランドセルに最初からついている固定式と、後からランドセルに貼り付けるシール式の大きく2種類があります。
反射材は年月とともに性能が劣化する可能性があること、また、反射材の要不要はお客様の事情で異なることから、池田屋ランドセルでは必要に応じて反射材を取り付けられるようシール式を採用しています。
警察や消防でも使われている反射性能の高い反射材です。汚れやすり減りで反射しにくくなったときや、失くしてしまったときは無料で新品をお渡ししています。
⑪ナスカン・Dカン
ナスカンやDカンは、ランドセルの側面についているフック型のパーツです。軽い荷物やキーホルダーなどを引っかけて使います。ナスカンは給食袋や巾着などよく取り外しをする袋を、Dカンはキーホルダーなど頻繁に外さないものを付けるのに便利です。
メーカーによって、ナスカンのみ付いている場合、Dカンのみ付いている場合、両方ついている場合と違いがあります。
池田屋ランドセルには、ナスカンとしてもDカンとしてもお使いいただける、独自の「池田屋フック」が両サイドに取り付けてあります。
*池田屋フック
>>ランドセルのナスカンとは?Dカンとの違いや使用時の注意点を解説
⑫錠前
錠前は、ランドセルのフタ(カブセ)を閉じるときに使う留め具です。主に「手動式ロック」と「自動式ロック」の2種類があります。
- 手動式ロック…手でつまみを回して留める
- 自動式ロック…ボタンを押し込むと自動でつまみが回転してロックされる
池田屋ランドセルは、使いやすさにこだわった、自社開発の「スライド式ロック」を採用しています。
池田屋のスライド式ロックや、自動式ロックの注意点についてはこちらの記事もご覧ください。
>>ランドセルの自動式ロックってどんなもの?手動式ロック・スライド式ロックとの違い
⑬ダルマかん
ダルマかんは、錠前の隣についているパーツで、下ベルトとランドセル本体をつないでいます。お子さまの体の動きに合わせて肩ベルトが動くように回転する仕組みになっています。
⑭カブセ裏
カブセ裏は、ランドセルのフタを開けたときに見える裏側の部分です。この場所に時間割ポケットが取り付けられているランドセルも多くあります。
池田屋ランドセルは、カブセ裏に防水性の高い専用の人工皮革を採用しています。時間割ポケットは次の理由からあえて取り付けていません。
・意外と使わない
タブレットやノートパソコンで時間割を確認する小学校が増えていて、プリントで時間割を確認することは少なくなっています。
・ポケットそのものや中に入れた紙が劣化しやすい
雨で中に入っていたプリントがボロボロになる・劣化して透明ポケットにヒビが入る・擦れや汚れがつきやすいといった問題が起きやすくなります。
・開け閉めが固くなる
カブセが厚くなると開け閉めがしにくくなり、カブセを開ける際の跳ね戻りもおきやすくなります。錠前の先端などがお子様の顔に当たってケガにつながることも。池田屋ランドセルはこのようなことが起きないよう、カブセ内部に芯材を入れていない「ソフトカブセ」という柔らかいカブセになっています。ソフトカブセの柔らかさを損なわないよう、カブセ裏にポケットはつけていません。
⑮内張り
内張りは、大マチ(一番大きな収納スペース)の内側に貼られた素材や仕上げのことです。
メーカーにより、ランドセルの内張りの素材や仕上げは異なります。池田屋では、「防水フレーム」という樹脂素材をランドセルの内張りに使用しているため、大マチの内側に縫い目が出ません。
池田屋ランドセルは表面に特殊なコーティングを施しているので、素材に雨が染み込む心配はありません。縫い目から入ってきてしまう水分も、この縫い目のない防水フレームで完全にシャットアウトできます。
⑯大マチ
※メーカーにより、ランドセルのサイズは異なります。図のサイズは池田屋ランドセルの大マチのサイズです。
大マチは、ランドセルのメインの収納スペースです。
多くのランドセルは、大マチにA4フラットファイルが入るように作られています。小学校で使う教科書や13インチのパソコンもすっぽり収納できる大きさです。
⑰小マチ
小マチは、大マチの前にあるサブの収納スペースです。メーカーによって形や容量が違うので、収納力や使いやすさを比べてみましょう。
池田屋ランドセルの小マチは折り畳みタイプです。荷物の量に合わせて小マチを広げたり、荷物が少ないときはコンパクトに畳んだりできます。
⑱ファスナーポケット
ファスナーポケットは、小マチのさらに前にあり、小物を入れるのにぴったりな収納スペースです。「前ポケット」とも呼ばれます。こちらもメーカーによってポケットの形や深さが違うので、使い勝手で選ぶのがおすすめです。
*ファスナーポケットの例
池田屋では、ファスナーポケットを「貴重品ポケット」と呼んでいます。1年生でも大切なものを管理しやすいよう、カギや定期入れをつなげておけるキーループを付けました。
また、ファスナーポケットにはご両親が貴重品を入れることも多いので、集金袋などの封筒が折れずに入る深さにしています。
>>集金袋や貴重品は ファスナー付きの貴重品ポケットに|池田屋のこだわり
⑲前ひも
前ひもは、ランドセルの横から小マチにかけて通されているベルトです。「前締め」とも呼ばれます。
小マチの容量を調節するためのもので、ベルトを長くすると小マチが広がり、短く締めると厚みが減ってコンパクトにできます。
*池田屋の前ひも
⑳時間割ポケット
学校の時間割を入れるための透明の収納ポケットです。多くのランドセルでは、カブセ裏についています。
池田屋ランドセルでは使い勝手を考えて、ファスナーポケット前面に時間割ポケットを設けました。名前や緊急連絡先を書くスペースもあるので、名前カード入れとしての役割もあります。
大きな時間割を入れるスペースがほしいという方は、プリント入れとしても使える別売りの時間割ポケットを取り付けることもできますよ。
ランドセルの構造について気になる疑問
ここではランドセルの構造に関するよくある質問とその解答を紹介します。ランドセルを選ぶうえで気になるポイントもまとめました。
どうしてランドセルはこの構造なの?
ランドセルの基本的な形は、昔からほとんど変わりません。長年愛されてきたのには、次のような理由があります。
- 体への負担がかかりにくいから
- 小学校で使いやすいよういろんな工夫がされているから
- 6年間使い続けられる作りだから
- お子さまの安全を考えられているから
ランドセルと一般的なカバンとの違いは、子どもが6年間毎日使うこと。重い教科書を入れたり、雨に濡れたり、多少乱暴に扱ったりしても平気なように、とても丈夫に作られています。ランドセルの構造は、お子さまが卒業まで使えるように考え抜かれた結果なんです。
>>なぜランドセル?日本の小学生がランドセルを使う理由
>>ランドセルの歴史と由来|発祥から現在までの変遷
パーツの数はどのくらい?
ランドセルにはたくさんのパーツが使われています。池田屋ランドセルの場合、パーツの数は約200個。そしてこれらのパーツを組み合わせ、1つのランドセルを完成させるには、300~350もの工程が必要です。
細かなパーツと工程を積み重ね、丁寧に作っているからこそ、長く使えるランドセルに仕上がるんですね。
まとめ
ランドセルの構造やパーツについてご説明しました。おおまかな形が同じでも、細かなパーツはメーカーごとに違いがあり、組み合わせもさまざまです。メーカーごとのこだわりが反映されているので、ランドセル選びの際は、パーツの違いまでチェックしてみてください。
池田屋ランドセルは、お子さまの使いやすさや安全性、耐久性を考えたパーツ選びやオリジナルパーツの開発にこだわっています。
また、ランドセル選びで迷ったら、実物に触れて使い心地を確かめてみることをおすすめします。実際に見て、触れて、背負ってみることで、お子さまにぴったりのランドセルが見つかるはずです。